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連載『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』 第60回

2018/06/29
2013年から続くロングラン連載。根っからの音楽好きの筆者が、全てのプロモーションを排除し、“高音質なハイレゾ” をキーワードにお宝音源を探し続ける音源レビューの旅。実際に聴いて選び抜いた太鼓判ハイレゾ音源の数々は、バックナンバーにて全てチェック可能です。さて、今月はどんなハイレゾと出会うのでしょうか?
『Laidback2018』、『Call me』
~ OTOTEN 2018トークイベントは満員御礼! ~

たくさんのご来場、ありがとうございました!

まずはイベント告知から。私事で恐縮ですが、e☆イヤホン秋葉原店さんのイベントで、2018年7月1日(日)の午後からずっと店頭に居ます。ハイレゾ音源に関するご質問も大歓迎。私も皆様と直接お話しできる機会があると嬉しいので、ぜひ遊びにきてください!


OTOTEN 2018で開催しました『e-onkyo music presents「厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!」トークイベント』、お陰様で大盛況でした。井筒香奈江さんとの昼の部、Ryu Mihoさんとの夕方の部、ともに立ち見が出るほどの混雑ぶり。ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。

満杯のイベント会場という状況でも、なかなか良い音で太鼓判ハイレゾ音源を鳴らせたのではないかと思います。やはり、イベントでの良い音は正義です。鳴らしていると、どんどんお客様が会場に増えていくのを目の当たりにしました。部屋から漏れ出る音だけでも、良い音が鳴っているかわかるもの。例えば、オーディオが鳴っているのか、生演奏しているのか、部屋の外からでも認識できます。これと同じ現象が、オーディオのイベントでも起こるのだと、確信できたイベントでした。

井筒香奈江さんの回では、記録された低域成分の圧倒的パフォーマンスに、会場からビビリ音が発生するほど。スピーカー脇にセットしてあったサブウーファーが鳴っていると思われた方が多かったようですが、全くの未接続。鳴っていたのはメインのトールボーイスピーカーのみで、あの重低音です。いかにこのハイレゾ音源に強烈なロー成分が記録されているか、実際にご確認いただけたと思います。イベントであの低音を体感されたなら、ぜひご自宅でも再現できるよう挑戦してみてください。

私がイベントに出演する際は、必ずセッティング時間を頂戴するようにしています。それは少しでも良い音でパフォーマンスし、お客様とイベントの興奮を分かち合いたいから。今回も、良い音=笑顔のイベントとなりました。



■井筒香奈江さん作品の、美しい音の波紋の秘密とは?

昼の部の井筒香奈江さんの回は、なんと巨匠エンジニア 高田英男さんが特別ゲスト。これは、あの秘密を聞き出すしかない! どうやったら、あの美しい音の波紋のようなサウンドを出せるのか? 単なる一発録りというだけでなく、何か他に秘密があるはずです。


高田さんの回答は、「全てをリアルタイムで処理したから」とのことでした。つまり、音量調整やエコー処理も、歌や演奏と同時に行うという、とんでもない職人芸だったのです。

一般的なレコーディングでは、まずは音の素材確保という作業が行われます。ミキサーによる音量調整や、エフェクターを使ったエコー処理などは、あとからじっくり時間をかけ、試行錯誤の末に完成するというスタイルが普通です。

ですが、高田さん曰く「今回のレコーディングでは、マイクセッティングや機材の選定の段階で音作りは全て完成していた」とのこと。あとは演奏に合わせ、直感でミキサーの音量調整を行い、さらに歌を聴きながらエコーの量をリアルタイムで可変させていたというのですから、驚きでしかありません。

確かにこの方法ですと、美しい音の波紋が実現するかもしれない。しかし、誰がこんな超人技をできるでしょうか。

私は、アナログテープ録音時代の音は、もう出せないと諦めていました。果たして本当に無理なのでしょうか? そのポイントを高田さんに直撃してみました。
「デジタル録音でも出せます。ただし、レコーディング時に優れたアナログ・ミキサーは必要」

なんとも心強いお言葉。イベントでは、高田さんに現役続行をお願いしておきました。本作『Laidback2018』がヒットし、井筒香奈江さんの次回作が再び高田さん録音で実現するように。そして、アイドル作品や声優・アニメ作品などで、高田英男さん録音が出てくるように、そう私は願っています。

『Laidback2018』はどのフォーマットで聴けばよいか?との質問には、
「192kHz/24bitデータが、ミックスダウン時の自分のイメージが良く再現されており、オススメ」との回答でした。イベントで鳴らしたのも、wav 192kHz/24bit音源です。

『Laidback2018』井筒香奈江
192kHz/24bit 他



最後に質問したのは、アナログ・レコード盤『Laidback2018』のマスターとなったリアルタイムDSD録音は、販売予定があるのかどうか? これは前向きにご検討いただけるとのことでした。楽しみですね!


■Ryu Mihoさんと一緒に聴いた、DSD11.2MHz一発録り!

夕方の部のRyu Mihoさんは、「私もハイレゾ音源を一緒に聴いてみたい!」と、再生するときは客席側に移られて真剣に聴かれていたのが印象的でした。まさに、アーティストと一緒に音楽を聴くという目的が果たせた瞬間だったと思います。参加された方なら、より深くまで『Call me』の魅力を知ることができたのではないでしょうか?

『Call me』Ryu Miho
96kHz/24bit 他



Ryu Mihoさんに一発録りについての心境をお聞きすると、「正直、直したいところはいっぱいあるんです。でもこれがその時の気持ちを歌で表したそのものですし、だからこそ伝わるものがあるのではと思いました。」とのことです。


『Call me』のレコーディングでは、ピアノがベーゼンドルファーとスタインウェイの2つだったとのこと。せっかくですので、ガチで会場のリスニングのみのピアノ当てクイズに挑戦してみました。確率1/2でしたが無事に正解でき一安心。ベーゼンドルファーとスタインウェイでは、倍音成分が異なっています。きっちり聴き分けできるほど、本作では記録できていたという証明になりました。

Ryu Mihoさんは、これが初のオーディオイベント参加だったそうです。楽しんでいただけたなら嬉しいのですが。これに懲りず、またオーディオイベントにもご参加いただきたいものです。




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【バックナンバー】
<第1回>『メモリーズ・オブ・ビル・エヴァンス』 ~アナログマスターの音が、いよいよ我が家にやってきた!~
<第2回>『アイシテルの言葉/中嶋ユキノwith向谷倶楽部』 ~レコーディングの時間的制約がもたらした鮮度の高いサウンド~
<第3回>『ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」(1986)』 NHK交響楽団, 朝比奈隆 ~ハイレゾのタイムマシーンに乗って、アナログマスターが記憶する音楽の旅へ~
<第4回>『<COLEZO!>麻丘 めぐみ』 麻丘 めぐみ ~2013年度 太鼓判ハイレゾ音源の大賞はこれだ!~
<第5回>『ハンガリアン・ラプソディー』 ガボール・ザボ ~CTIレーベルのハイレゾ音源は、宝の山~
<第6回> 『Crossover The World』神保 彰 ~44.1kHz/24bitもハイレゾだ!~
<第7回>『そして太陽の光を』 笹川美和 ~アナログ一発録音&海外マスタリングによる心地よい質感~  スペシャル・インタビュー前編
<第8回>『そして太陽の光を』 笹川美和 ~アナログ一発録音&海外マスタリングによる心地よい質感~  スペシャル・インタビュー後編
<第9回>『MOVE』 上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト ~圧倒的ダイナミクスで記録された音楽エネルギー~
<第10回>『機動戦士ガンダムUC オリジナルサウンドトラック』 3作品 ~巨大モビルスーツを感じさせる、重厚ハイレゾサウンド~
<第12回>【前編】『LISTEN』 DSD trio, 井上鑑, 山木秀夫, 三沢またろう ~DSD音源の最高音質作品がついに誕生~
<第13回>【後編】『LISTEN』 DSD trio, 井上鑑, 山木秀夫, 三沢またろう ~DSD音源の最高音質作品がついに誕生~
<第14回>『ALFA MUSICレーベル』 ~ジャズのハイレゾなら、まずコレから。レーベルまるごと太鼓判!~
<第15回>『リー・リトナー・イン・リオ』 ~血沸き肉躍る、大御所たちの若き日のプレイ~
<第16回>『This Is Chris』ほか、一挙6タイトル ~音展イベントで鳴らした新選・太鼓判ハイレゾ音源~
<第17回>『yours ; Gift』 溝口肇 ~チェロが目の前に出現するような、リスナーとの絶妙な距離感~
<第18回>『天使のハープ』 西山まりえ ~音のひとつひとつが美しく磨き抜かれた匠の技に脱帽~
<第19回>『Groove Of Life』 神保彰 ~ロサンゼルス制作ハイレゾが再現する、神業ドラムのグルーヴ~
<第20回>『Carmen-Fantasie』 アンネ=ゾフィー・ムター ~女王ムターの妖艶なバイオリンの歌声に酔う~
<第21回>『アフロディジア』 マーカス・ミラー ~グルーヴと低音のチェックに最適な新リファレンス~
<第22回>『19 -Road to AMAZING WORLD-』 EXILE ~1dBを奥行再現に割いたマスタリングの成果~
<第23回>『マブイウタ』 宮良牧子 ~音楽の神様が微笑んだ、ミックスマスターそのものを聴く~
<第24回>『Nothin' but the Bass』櫻井哲夫 ~低音好き必聴!最小楽器編成が生む究極のリアル・ハイレゾ~
<第25回>『はじめてのやのあきこ』矢野顕子 ~名匠・吉野金次氏によるピアノ弾き語り一発録りをハイレゾで聴く!~
<第26回>『リスト/反田恭平』、『We Get Requests』ほか、一挙5タイトル ~イイ音のハイレゾ音源が、今月は大漁ですよ!~
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<第53回>
『厳選! 太鼓判ハイレゾ音源ベストセレクション キングレコード ジャズ/フュージョン編』~ 試聴テストに最適なハイレゾ音源は、これだ! ~
<番外編>『厳選! 太鼓判ハイレゾ音源ベストセレクション キングレコード ジャズ/フュージョン編』を、イベントで実際に聴いてみた!
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<第59回>『Laidback2018』、『Call me』~ OTOTEN 2018で、女性ボーカルお二人とトークイベント! ~


筆者プロフィール:

西野 正和(にしの まさかず) 3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー 株式会社レクスト代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。『厳選! 太鼓判ハイレゾ音源ベストセレクション キングレコード ジャズ/フュージョン編』をプロデュース。