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アーティストのための配信サイト“Weare”とのコラボが実現。ASKAのソロ2作品のハイレゾがe-onkyo musicで配信スタート!

2018/06/12
「アーティストによるアーティストのための配信サイト」を標榜する“Weare”とe-onkyo musicによるコラボレーションが実現しました。その初回タイトルは、シンガー・ソングライターのASKAさんが2017年にリリースしたソロ・アルバム『Too many people』と『Black&White』に決定。アーティストとしての健在ぶりをアピールしてファンを喜ばせた2作品をハイレゾの高音質でお楽しみいただけます。e-onkyo musicでは、ASKAさんが自ら立ち上げた音楽配信サイト“Weare”の狙い、最新ソロ作品に込めた想い、そしてハイレゾへのこだわりといったテーマについて、ご本人にたっぷりとお話を伺いました。

インタビュー・文◎大山哲司 撮影◎岡田貴之、山本 昇(取材時) 取材協力◎ステレオサウンド


■ミュージシャンに対価が還元される仕組みを

――まずは音楽配信サイト“Weare”を自ら立ち上げた経緯や目的を教えていただけますか?

ASKA 20年以上前に、音楽業界が現在のような状態になることは予想できていたんです。“売らんかな”主義が広がることは、ビジネスですし、アーティストにとってはありがたいことですから良いと思うのですが、例えば、レコード会社の特典争いが過剰になったり、レコード会社だけではなくレコード・ショップ独自の特典が付いたり、あまりにも消費者に迎合しすぎていると感じた時期がありました。これはあくまで個人的な感覚だったと思ってください。いつの間にか、消費者がそれ以上の物を求めるようになった。そして、それに対してまた応えようとする。このままいくと、アーティストや楽曲自体の価値を下げることになってしまうんじゃないかと思ったんです。以前から僕はコンサートのMCで、「今にCDではなく、何らかの通信によってみんなの家に音楽が送られることになると思う」と伝えました。当時はまだパソコンも普及していなかったので、有線放送みたいな形態で音源を送信して、リスナーは欲しい楽曲を録音するというシステムになるんじゃないかと思っていたんです。インターネットが普及して、配信という形でそれが実現することになった。配信が始まった頃には事業としてAppleが秀でていましたから、当時のiTunes StoreでCHAGE and ASKAの全曲を一斉に公開したんです。20年以上前に語ったことが今まさに起こっていると思い、いち早くやってみたんです。これからの音楽は配信だと思いましたしね。
 また、こうも伝えました。「そのうち楽曲が10円、20円の価値しかなくなる時代がくる」と。これに裏づけされたものはありませんでした。ただ、感覚的に感じたんです。「そうなるとミュージシャンは食べていけなくなる」と、話しました。これ、ストリーミングのことだったんですね。現在のストリーミングでは、曲が再生されてもアーティストにほとんど還元されないため、特に若いミュージシャンは、音楽だけでは全く食べられない。そこで、ミュージシャンに対価がちゃんと還元される仕組みを作らなきゃいけないと思ったんです。そのためには、レコード会社や事務所といった垣根をすべて取っ払って、ミュージシャンが集まる場所があるといいなと。そしてなによりも、これからの新人ミュージシャンにとって、チャンスに繋がる場所になればいいなと。ずっと前から温めていたそんな構想がWeareにつながったんです。

――だから名前も“Weare”と。

ASKA はい。“我々、アーティスツ!”と。Weareでは利益を追求せず、可能な限りギリギリまでアーティストに還元します。今後、そのパーセンテージがもっと上がって行くよう努力します。そうなれば、アーティスト本人にもレコード会社にとってもよい形となって行きますので。

インタビューに応じてくれたASKAさん。ステレオサウンドの試聴室にて

■僕がハイレゾを推奨する理由

――今回はe-onkyo musicと組むことになりました。まず『Too many people』と『Black&White』がハイレゾで配信されていますが、リスナーにはどんな点に注目してほしいと思いますか?

ASKA 僕たちがスタジオで聴いている音をそのまま家で再現してほしい―――ただそれだけなんです。現在のストリーミングには問題もあるけれど、時代の産物です。時代の中から生まれてきたものを僕は否定しようとは思わない。ストリーミングを介して自分の音楽を公開したいミュージシャンも、しなきゃいけない時期のアーティストもいる。特に若い人はね。彼らが自分たちの存在を知ってもらうためには、ストリーミングを利用するのもいいと思うんです。リスナーの方は、ストリーミングで気に入ったアーティストを見つけてくれればいい。でも、そのアーティストの楽曲をちゃんと聴きたいと思ってくれる方たちには、高音質のハイレゾ音源を提供しようと。
 レコードで聴いていた音源を最初にCDで聴いた時には、あまり薄っぺらい音だとは感じなかったんです。レコードだとパチパチと言っていたノイズが、CDには一切ない。CDは素晴らしいものだと思った。でもそのうちスタジオで聴いている音となんでこんなに違うんだろうと思い始めた。そしてCDというものはデジタルであり、アナログからデジタルに変換する際に、そぎ落とされて聞こえない部分があるんだということを知るわけです。それでもちゃんと聞こえるようにプログラミングされているので、人間の耳はそういうものとして受け取ってしまう。つまり、いい音に聞こえるようにいじっているだけで、実はスタジオで聴いているマスターの音とは全く違うんですね。スタジオで僕らが苦労しながら繊細に作り上げた音が、圧縮された音源ではすべてを再現できない。僕らが作った音ではなくなってしまうんです。なるべくなら僕らが作った音をそのまま聴いていただきたい。
 そして、最も重要なことがあります。現在のハイレゾ価格を壊さなくてはならないと思ったんです。現在、1曲平均540円ですからね。これでは高すぎて広がりません。“Weare”では、1曲280円に設定します。良い音を提供するのは当たり前です。どうぞ、ストリーミングのサウンドとハイレゾ・サウンドを聴き比べてください。驚くほど違いがわかります。僕は世の中にWeareからハイレゾ・サウンドをダウンロードされることを推奨します。「作る人」と「聴く人」が、しっかり納得し合える配信サイトです。そしてこれにより、CDショップは衰退するのではと質問を受けますが、逆です。CDショップは2倍3倍と、大きくなっていきます。これは、いつかまたお話しさせてください。

――オーディオに対するこだわりもお持ちのようですね。

ASKA ハイレゾに対応した環境がないと、僕が今お話ししたような良さというのは成立しにくいんです。ですからWeareではハイレゾ対応のスピーカーを販売していく予定です。昔は大きなスピーカーを持つというのが、一つの喜びでもあったと思うんですが、今は小型化してお洒落なものがたくさんあります。ハイレゾをより普及させていくために、手頃な価格でありながら、音質も良く、独自のチューニングを施した小型のハイレゾ対応スピーカーを提供していきたいと思っています。

■今の僕を支えてくれる人たちのために

――昨年リリースされた2枚のソロ・アルバムはアナログ・レコード(『Too many people』)、CD、配信と、いろいろなフォーマットで販売されていますよね。

ASKA ここ数年、僕にとってブログの存在は大きくて、たくさんの方に読んでいただいていました。ブログを始めていなかったらDADAレーベルもWeareもなかったでしょう。僕がやろうとしていることに賛同を表明してくださった方たちが、今の僕を支えてくれています。何としても絶対にやらなきゃいけない、やるんだという気持ちでやってきました。心の底にあった“やるんだ”という気持ちを引き出してくれたのが、ブログの読者の方たちや公式ファンクラブFellowsの会員の方々だったんです。非常に感謝しています。そうした方々の試聴環境はさまざまですから、感謝の意味も込めていろいろな形で提供しようと思ったんです。それに昨年の作品については、ある意味第一弾であり、ソロ・デビュー30周年という記念でもありましたからね。そこでアナログも出してみようと。

――ステレオサウンドからリリースされた『Too many people』のアナログ・レコードは2枚組、180gの重量盤ですね。音の印象はいかがでしたか。

ASKA 音が安定していますね。昔は輸入盤と国内盤で、すごく違いがあったかと思います。輸入盤は最初から盤が反っていたりするものもありましたよね。それに比べて国内盤はとてもしっかりしていた。それをさらにしっかりさせたものが今回の重量盤です。

――あらためて、ハイレゾのメリットについてはどのように捉えていますか。

ASKA 今回、CDとハイレゾを同じ曲で聴き比べてみて、こんなに違いがあるのかと思いましたね。僕がハイレゾに興味を持ったきっかけは、ハイレゾ対応ではない普通のスピーカーで聴いても、違いが分かったからなんです。ハイレゾ対応のスピーカーなら、もっとハッキリと違いが出るはずだし、これから配信する音源はすべてハイレゾになるだろうと思いましたね。

――現在、新曲を毎月Weareからリリースされています。その制作プロセスをブログでも紹介されていますが、そういった活動も興味深いですね。

ASKA アルバムを2枚出した去年は、楽曲を制作するモードに入っていたと思うんです。そのペースをなるべく落とさないようにして、次の扉を開けやすくするためにも、休まずに楽曲を作ってみようと思ったんです。それで毎月の配信を考えてみようと。そして、もう一つ理由があって、これからはミュージシャンの音楽のリリースの仕方が変わると思うんですね。今までは、シングルがあり、そのカップリング曲があり、そしてアルバムがあった。アルバムにはもちろんアルバム・タイトルがあって、収録された楽曲群をまとめて、そのタイトル名で呼んでいますよね。でもダウンロードだと、アルバムごとに買う必要はなく、自分が気に入った曲、薦められた曲、試聴して何となく触りが良かった曲だけをダウンロードすればいい。アルバムを丸ごとダウンロードすることはあまりないと思うんです。それを鑑みると、例えば、そのアーティストの配信ページに行くと、 “ASKA2018年度作品”、“ASKA2019年度作品”というような分け方になっていくんじゃないかと思うんです。そういう意味でも楽曲を毎月並べていこうかなと。その結果、この辺で休んでみようかと思ったら、毎月配信を止めるかもしれませんし、まだまだ創作意欲があるうちは毎月出していくかもしれない。その中から評判の良い曲、好まれる曲、そうではなくても自分のアーティストとしての姿勢を貫くという観点から、自分で重要だと思う曲をピックアップして、そこで初めてアルバムのタイトルを付ければいいと思うんです。

「自分がこうしていられるのも音楽があったから。音楽に感謝をしなくちゃいけないと感じて、いろいろなことを考えるようになりました」

■ソロ・アルバム『Too many people』と『Black&White』

――e-onkyoからの配信が開始される2枚のソロ・アルバムですが、1枚目の『Too many people』を作った時には50曲ぐらい曲のストックがあったそうですね。どういう基準で収録曲を選んでいったんですか?

ASKA 50曲からの選りすぐりと思われると困るんです。楽曲は“なまもの”と言われるように、その時に聴かせたい曲、その時々を表している曲というものがあります。復帰作では、そうした観点からアルバムに相応しい楽曲を選びました。

――「FUKUOKA」という曲と「東京」という曲が入っていて、その2曲の対照がこのアルバムを象徴しているのかなと思いました。

ASKA 「東京」はすぐに詞が見えましたね。今住んでいる場所への自分なりの愛情、愛着。もう一つは、今現在自分たちは“一緒にこの時代を過ごしている”ということと、“ずっとこのまま続いていけたらいいね”ということ。やっぱり3.11の影響が大きくて、これから本当に“どうなるか分からない東京”という意識があった。その思いはこれから100年も200年も続いていくと思うんです。そういった意味を込めて書いたという側面もあります。
 ただ、僕は起こしてしまった事件のコンプライアンスから、東京のスタジオは一切借りられなくなってしまった。そんな時、声をかけてくれたのが故郷の福岡だったんです。福岡で録るということは考えていなかったのですが、たくさんのミュージシャンを生んだ街であり、スタジオも数えきれない程あるので、なるほどな、と思ったんです。そこで、ASKAバンドが福岡に集合してくれて、アルバムを制作したんですが、福岡に行く前に、ふと、ギターをつま弾いて優しい曲を作ってみようと思ったんです。アルバムに入れようとは考えていなかった。でも作ってみたら、このアルバムにはこの曲が必要なんじゃないかと思い始めたんです。それで福岡に行く直前に「FUKUOKA」という詞を書きました。

――とてもASKAさんらしいアルバムだなと思って聴かせていただいたんですが、ご自身では自分らしい音楽というのはどのようなものだと考えていらっしゃいますか?

ASKA それは僕には分かりません。よくミュージシャンの音楽を聴くと、その背景が分かると言いますよね。誰々に影響されているとか。僕には影響されたミュージシャンがいないんです。強いて挙げれば井上陽水さんを聴いてフォーク・ソングを知ることになったという程度で、洋楽はほとんど聴きませんでした。ただ、映画音楽が好きで、周りがみんなフォークやロックを聴いている時代に、僕は『映画大全集』を買って、メロディがすごくいいサントラばかりを聴いていたんです。メロディの流れ方や転調感覚、経過音を使ったりしていくところなどは映画音楽の影響なんでしょうね。それが独特と言われるのかもしれません。

――『Black&White』のタイトル・ナンバーは、“鍵盤”と重ね合わせているんですね。

ASKA そうですね。黒鍵と白鍵です。僕は人って12種類に分けられると思っているんです。隣り合っている白鍵と黒鍵を同時に鳴らすと濁る。人もそうじゃないですか。相性の良くない人もいる。すべてが白鍵のCのキーに対してF♯は真裏のキーなんです。でもF♯から“ドレミファソラシド”を弾くと、F♯のキーにも白鍵が2ヵ所あるんですね。二つのキーはFとBで出会うこともできる。どうも合わないと思っている人も、その二つを大切にして付き合っていけばコミュニケーションがとれるんじゃないかと。そういうことを歌いたかったんです。

――曲作りのツールとしての鍵盤の魅力は?

ASKA 押さえればそれがコードですから。ギターの場合は開放弦が入ってきたりして、これは何のコードだろう?と考えなきゃならないんですね。その点、鍵盤はすごく分かりやすい。それから、ギターは分数コードを出すにしても鳴りをしっかりと考えた押さえ方をしないと広がりが出てこないんです。それが鍵盤だと簡単に広がるんですね。僕にとっては鍵盤の方が楽曲に対するイマジネーションが湧きやすいんです。だから最近はほとんど鍵盤ですけど、「FUKUOKA」はギターでしたね。ちなみに、今作っている曲もギターです。

――それは6月に配信される曲ですか?

ASKA 今のところそのつもりです。いい感じです。

――最近のASKAさんの活動を見ていると、単にアーティストとして自分の作品を発信するだけではなくて、音楽というものはこのように聴いたら楽しいんだよ、こうすれば曲を作ることができるんだよということも含めて発信されているように思うんですが、いかがですか?

ASKA そういう時期に入っていますね。2012年に『SCRAMBLE』というアルバムを出した頃から、この世の中に音楽というものがあることにすごく感謝していて、自分がこうしていられるのも音楽があったからなんだと思っています。音楽に感謝をしなくちゃいけないなと感じ始めたところから、いろいろなことを考えるようになりました。それはこれからもずっと続いていくと思います。昔は音楽をやることに喜びと夢を感じていたはずなんです。人それぞれ違うでしょうけど、音楽をやることによって、こうなりたいという夢。今では、音楽をやっても食べていけないでしょ、ということになりかけている。もしかするとこの国には、音楽で開花できる人がもっといるかもしれないのに、最初から音楽に目を向けていない。僕もいい音楽を聴きたいと思うので、それはとても寂しいことですね。今のままだとミュージシャンがいなくなってしまうかもしれない。僕の音楽に対する感謝として、そういう時代を作っちゃいけないと思っているんです。

――今後ツアーに出る予定はありますか?

ASKA はい、予定しています。今まさに水面下でいろいろなことが進んでいますので、時期が来たら皆さんにお伝えできると思います。

――楽しみにしています。今日はありがとうございました。

ASKA ありがとうございました。



◆NEWS:[Weare × e-onkyo music] ASKA月1配信曲4タイトルの配信開始

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◆高音質アナログ・レコード『Too many people』 Stereo Sound ONLINE



■iPhone、iPadでの試聴方法について
http://www.e-onkyo.com/sp/news/2011/