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【6月7日更新】 ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music

2018/06/07
衛星デジタル音楽放送ミュージックバードで、2017年1月にスタートした番組「ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music」と連動したコラム。音にこだわるオーディオ・ファン、ハイレゾに初トライしてみたいクラシック・ファンのために、「ハイレゾ女子」として活躍する音楽ライター・原典子が、e-onkyo musicから選りすぐりのタイトルをご紹介します。 文◎原典子
6月のテーマ:世界のこだわりレーベル探訪 その3 ~音の匠編

 6月のテーマは「世界のこだわりレーベル探訪 その3 ~音の匠編」。e-onkyo musicでハイレゾ音源を配信している数多のレーベルの中でも、とりわけ高音質にこだわり抜く職人気質のレーベルをご紹介したい。今回は、国内・国外、メジャー・マイナー問わず8つのレーベルをピックアップしてみた。

■職人技と個性が光る国内レーベル

 まず最初は、マイスターミュージック。「トーンマイスター」というドイツの国家資格を日本人として初めて取得した平井義也氏が主宰するレーベルである。技術的な面だけでなく、音楽的な面にも精通したトーンマイスターは、レコーディングの現場でそれぞれの作曲家に適した音を捉え、演奏家の持ち味を最大限に活かす方法をトータルに判断する存在だという。平井氏がレコーディングにおいてもっとも大切にしているのは「シンプルさ」。2本のマイクを1ヶ所に立てるワンポイント録音を採用し、世界に数組しかないというハンドメイドの真空管マイクを使用して行われている。川田知子によるバッハの『無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ』を収めた2枚のアルバムを聴けば、日本を代表する多くのベテラン音楽家が、マイスターミュージックで録音したがる理由がお分かりになることだろう。

 次は、“ミック沢口”こと沢口真生氏が主宰するUNAMASレーベル。もともとサラウンド音源制作のスペシャリストとしてオーディオ・ファンの間では有名だった沢口氏だが、2014年の『The Four Seasons -Antonio Vivaldi』を皮切りにクラシック作品を次々発表。日本プロ音楽録音賞を受賞するなど、いずれも高く評価されている。軽井沢大賀ホールをはじめ贅沢な環境で、たっぷりと時間をかけてレコーディングされた9.1chのサラウンドは、まったく未知の音楽体験をもたらしてくれるものだ(2chで再生できる音源も配信されている)。さらにUNAMASレーベルのクラシック作品は、独自のアレンジが施されているところが大きな特徴。たとえば弦楽四重奏の「死と乙女」をヴァイオリン×2、チェロ×2、コントラバスという編成に変えることで、楽曲の持つドラマ性とダイナミクスを最大限に引き出すといった工夫がなされ、さらに“聴き映え”のする作品に仕上がっている。

 ほかに国内のレーベルとしては、DSD音源を数多く配信しているソニー・ミュージックレーベルズ、オーディオ・アクセサリー・メーカーのACOUSTIC REVIVEが運営するレーベルを放送ではご紹介している。

■知る人ぞ知る海外レーベル

 海外のレーベルとしては、クラシック・ファンにはおなじみのイギリスのCHANDOSのほか、知る人ぞ知る3つのレーベルを取り上げた。

 ひとつめは、ロサンゼルスを本拠地とするYarlung Records。主にクラシック系のレコーディング、プロデュースにおいて非常に高い評価を受けており、世界的に知られたアーティストの作品もある一方で、コンサートのキャリアをスタートしたばかりの若い才能の発掘・録音にも意欲的に取り組んでいる。若きミニマリストたちからなるスモーク&ミラーズ・パーカッション・アンサンブルの『Vanish』は、その録音クオリティの素晴らしさを存分に味わえるアルバム。「Yarlung Recordsの姿勢は、無色透明であろうとすること。美しい景観を磨き抜かれた窓を通して見るように、演奏者の生々しい息づかいをリビングルームで聴いて欲しいのです」と語るプロデューサー&レコーディング・エンジニアのボブ・アティエー氏の言葉通り、奇をてらわず誠実に音を捉える姿勢が作品から伝わってくる。

 次は、スペインのEudora Records。マドリッドに本拠を置き、ギタリストのリカルド・ガレンが主宰するレーベル。カタログ数はまだそれほど多くないが、なんといっても現時点で最高のビットレートであるDSD256(11.2MHz, 1bit)で収録され、ダウンロード販売されている点でオーディオ・ファンにとっては要注目のレーベルだろう。もちろん数字が大きいから音質が良いと単純に言えるものではないが、その腕の確かさは、ドーム型の高い天井を持つ石造りの教会でレコーディングされたガレン氏本人のソロ・ギターによるアルバム『En Silencio』を聴けば、すぐにお分かりいただけることだろう。

 そして最後は、アメリカのReference Recordings。1976年頃の創立で、スペクトラルの設計者であり、HDCDの発明者でもあるキース・ジョンソン博士が30年以上もチーフ・エンジニアを務めている高音質レーベルである。LP時代には当時40代だった野島稔による『ノジマ・プレイズ・リスト』、CD時代に入ってからもスクロヴァチェフスキや大植英次など、「旬」の演奏家を起用したアルバムは話題となり、音質の良さから熱心なファンに支持されてきた。ピアノ、ハープシコード、トイピアノ、パーカッション、エレクトロニクスなどさまざまな楽器を弾きこなすアメリカのピアニスト、ナディア・シパチェンコの最新アルバム『クォーテーションとオマージュ』は最近の私のいちばんのお気に入りなので、ぜひお聴きいただければ幸い。



<マイスターミュージック>

『J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータBWV1004-1006』
川田知子(vn)




『ラ・カンパネッラ』
須関裕子




『恋するリコーダー ~リコーダー・コレクション~』
山岡重治(リコーダー)レ・サンク・サンス





<UNAMAS>

『The Four Seasons -Antonio Vivaldi』
The Quartet Four Seasons




『Franz Schubert No-14 in D minor Death and the Maiden』
Unamas Strings Quintet




『A.Piazzolla by Strings and Oboe』
UNAMAS Piazzolla Septet




『チャイコフスキー:弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」』
UNAMAS Piazzolla Septet





<Sony Music Labels Inc.(RCA RED SEAL)>

『R.シュトラウス交響詩チクルス[2]:ドン・キホーテ、ティル・オイレンシュピーゲル&ばらの騎士』
トゥルルス・モルク(vc)佐々木亮(va)パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団





『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&チェロ・ソナタ』
河村尚子(p)イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 他





<Acoustic Revive>

『シューベルトピアノ五重奏曲 イ長調 作品114 (D 667)「鱒」』
Koike Strings with 新垣隆





HANDEL RECORDER SONATAS』
パトリック・デネッカー(リコーダー)上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ)グイ・ペンソン(チェンバロ)





『ブラームス:ピアノ小品集』
福原彰美





<CHANDOS>

『シューマン:弦楽四重奏曲集』
ドーリック弦楽四重奏団





『エルガー:ヴァイオリン協奏曲、組曲「インドの王冠」より間奏曲 他』
タスミン・リトル(vn)アンドリュー・デイヴィス指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団





『フローラン・シュミット:交響曲第2番、「アントニーとクレオパトラ」より組曲第1番、第2番』
サカリ・オラモ指揮BBC交響楽団





<Yarlung Records>

『J.S.バッハ、フランク、レフコヴィッツ、ブラームス:ヴァイオリン作品集』
ペトリ・イーヴォネン(vcn)ケヴィン・フィッツ=ジェラルド(p)





『Vanish』
スモーク&ミラーズ・パーカッション・アンサンブル 他





『ファリャ、黛敏郎、J.S.バッハ、ラウズ、スタッキー、ブリテン:チェロ作品集』
エリノー・フレイ(vc)デイヴィッド・フン(p)





<Eudora Records>

『En Silencio』
リカルド・ガレン(g)




『レバイ:ギターを伴うソナタ集』
ペドロ・マテオ・ゴンザレス(g)ホセ・アルバレス・ロサダ(vn)ホアキン・リケルメ(va)




『The Brahms Project - The Complete Piano Quartets』
The Brahms Project





<Reference Recordings>

『ストラヴィンスキー:「火の鳥」組曲、交響詩「うぐいすの歌」、春の祭典』
大植英次指揮ミネソタ管弦楽団




『ショスタコーヴィチ:交響曲第5番「革命」、バーバー:弦楽のためのアダージョ』
マンフレート・ホーネック指揮ピッツバーグ交響楽団




『クォーテーションとオマージュ』
ナディア・シパチェンコ(p) 他









【バックナンバー】
<第1回> 違い歴然!ハイレゾで聴きたい名曲名盤
<第2回> ポスト・クラシカルが止まらない!
<第3回> 世界のこだわりレーベル探訪 その1!
<第4回> 春の声
<第5回> 確信犯的クラシック――革新的NEXT GENERATIONS
<第6回> 雨の日の音楽
<第7回> 世界のこだわりレーベル探訪 その2 ~自主レーベル篇
<第8回> エキゾでフォークなクラシック
<第9回> 来日オーケストラ&演奏家特集2017
<第10回>物語から聞こえる音楽
<第11回>
いま聴きたい弦楽器奏者たち
<第12回>
話題作&私的ベスト2017
<第13回>
神々の音楽
<第14回>
フランスの色と香り
<第15回>別れと旅立ちのクラシック
<第16回>4月のテーマ:アメリカのリズムとメロディ
<第16回>5月のテーマ:子供と音楽




※ミュージックバードとは
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出演者:原典子(はら・のりこ) 音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在はフリーランス。『intoxicate』『CDジャーナル』など音楽雑誌への執筆のほか、坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を担当。鎌倉で子育てをしながら、「レゾナンス<鎌倉のひびき>コンサートシリーズ」の企画にも携わる。
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