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【JAZZ TODAY】コルトレーンが人生を教えてくれた。 坂田明
JAZZファンに人気のフリーペーパー「JAZZ TODAY」。このたびJAZZ TODAY誌とオンキヨーのコラボレーションで東京八重洲にあるオンキヨー試聴室「マリンシアター」にゲストをお招きし最高のホームシアターセットですきなジャズを聴いてもらい一筆したためていただきました。
今回のゲストはミュージシャンの坂田明さんです。
坂田明xマリンシアター
オンキヨーのAV試聴室「マリーンシアター」に登場した坂田明さんとの会話は「いいね〜、この大スクリーンでミジンコを見られたら」で始まった。坂田さんのミジンコ好きは有名だが、何でジャズ・メンがミジンコをとつい考えてしまうが、これが大間違い。広島大学水畜産学部水産学科卒業の坂田さんの場合、むしろミジンコの研究者がアルト・サックスで生計を立てるようになったというのが筋道としては正しい。坂田さんがバッグの中からとり出したのは「コルトレーン・ライブ・イン・ジャパン」。長いベース・ソロから始まる「クレッセント」をまんじりともせず聞いていた坂田さんに、コルトレーンとの衝撃的な出会いに至るまでの少年時代の話を語っていただいた。
坂田明Xジャズ
中2の時にラジオで『墓に唾をかけろ』という映画の音楽をラジオで聞いて人生変わっちゃったんですよ。こ〜いう風になっちゃったの。そのあとですね、アート・ブレイキーの「モーニン」とかファンキー・ジャズが流行るのは。最初に聞いた「褐色のブルース」はクール・ジャズ。ヌーベル・ヴァーグの音楽、それがカッコ良かったんです。その頃、僕たちが聞いていたのは「ここに幸あれ」だからね、大津美子の。
呉の田舎、市電の終点がある村、前が海で後ろが山。とても文化が遅れている場所で暮らしていたんです。本や映画もあったけれど、新しい匂いが流れるのはラジオくらい。色んなものが遅れているわけです、田舎だから。自分の牛の世話の合間に遊んだり食事の用意したり、そんな、のどかな生活にいきなりヌーベル・ヴァーグがばしっと入って来たんだから凄いカルチャー・ショック。モンゴルの草原で羊と生活している若者が風力発電使ったテレビを見たら、香港のテレビ番組が目に入って、なんだこれは?と驚くぐらいのショックだったんです。それで、自分で真空管のアンプを作った。だけど、完成してから考えてみると、アンプだけじゃ音は出ない、プレイヤーやスピーカーが必要だからね。その辺がね、俺の音楽と全く同じで、なにごとにも闇雲なんだよ俺は。細部を考えたり、そつなく順を追うようなことが出来ない。まず最初にしたいことをやる。一点突破してやりながら考える、それが俺の人生。50分自転車に乗って山二つ越えたレコード屋で最初に買ったレコードはルドルフ・ゼルキンのベートーベンのピアノ・ソナタ「月 光」。素晴らしかったね。
高校に入ったらブラス・バンドでトランペット吹こうと思っていたわけ。ニニ・ロッソとかベルト・ケンプフェルトをラジオで聞いていたからね。
でも、ブラ・バンにはラッパがなかった。先輩は自分の楽器を
持っているけれど、うちは貧乏だから買えない。クラブにあったのは、海軍の払い下げで、力いっぱい吹かないと鳴らないぼろぼろのクラリネット。その時に音楽というものは力いっぱいやるもんだというクセがついちゃった。最初がロクデモナイからこうなっちゃうのね、すべてが歪な形で入ったからこ〜いう人生になっちゃったんだね。
その後、「真夏の夜のジャズ」を見てクラリネットがダサいと思ったので、親戚を拝み倒して金を集めてサックスを手に入れた。大学は2年留年してサックスばかり吹いていたし、貞夫さんの通信教育でバークレー・メソッドも勉強した。そんな時にコルトレーンが来日したんだ。
何が何だか分からなかったけれど、音が凄くて打ちのめされた。音楽をこんなにちゃんとやって生きている人がいるってことに感動した。もっときちんと生きなければいけないということをコルトレーンに教えてもらったんだ。どうやったらコルトレーンのように生きられるだろうと考えた末、やっぱりミュージシャンになるしかないということにいきついたのね。だから、仕方なく東京に出て、仕方なくミュージシャンになった。動機が不純かな。追いつめられて、どうしようもなく、やることがないのでミュージシャンになったんだから。歪な人生かもしれないよね。
【坂田明プロフィール】
1945 年 広島生まれ。ジャズサックス奏者。広島大学水畜産学部水産学科(現・生物生産学部)を卒業。2003年には長年にわたるミジンコの研究普及活動が認められ、日本プランクトン学会より特別表彰されている。1972年から1979年まで「山下洋輔トリオ」に参加。激しいサックス演奏で知られ、以後はさまざまなグループの結成・解体を繰り返し、現在は「坂田明mii(みい)」を中心にセッションを展開している。
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※写真は2月配布号(No.22)表紙
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06/09/29
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