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【JAZZ TODAY】デキシー、有難う!! by 宇崎竜童
JAZZファンに人気のフリーペーパー「JAZZ TODAY」。このたびJAZZ TODAY誌とオンキヨーのコラボレーションで東京八重洲にあるオンキヨー試聴室「マリンシアター」にゲストをお招きし最高のホームシアターセットですきなジャズを聴いてもらい一筆したためていただきました。
第2回目のゲストはミュージシャン 宇崎竜童さんです。
【宇崎竜童 × マリンシアター】
前回の原田眞人監督からのご指名で今回登場いただいたのは、今年還暦を迎える宇崎竜童さん。オンキヨーのAV試聴室「マリンシアター」に入るなり、開口一番「こ〜いう部屋が欲しくてスペースを確保してあるんだけど、どんな機材を入れようか考えている間にどんどん新しい製品が出るから迷っているうちに時間がたって、今はリハーサル・ルームになってるんですよ」。
〈港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ〉〈スモーキン・ブギ〉〈想い出ぼろぼろ〉など数々のヒット曲に始まり、映画音楽、役者、伝統芸能、舞台に幅広く活動中の宇崎さんの原点がデキシージャズにあるとは…。
【宇崎竜童 × JAZZ】
今から40年程前、僕は高校時代のブラスバンド部の先輩に誘われ、訳も分からず、デキシーランドジャズのクラブ活動をやることになった。
部室へ行くと先輩たちと新入部員が楽器を持って集っていた。こんな風景は中高校6年間、ブラバンで過ごしたから見慣れたものだったが音が違う。主に行進曲、クラシックを演奏してきたが、コチラはジャズである。譜面は1頁に12小節しか書いておらず、メロディだけだった。「吹いてみな!」。怖い顔した先輩に命じられる侭に譜面通り吹くと、続けて「じゃ、フェイクしてみな!」と…「フェイク?」…「メロディを崩してプレイするんだ!」と怒鳴られた。続けて「アドリブ!」 「えっ、そんな無茶な!」「いいから演れ!」 「ハイ!」こんな感じだったと思う。何故かフェイクもアドリブも出来た。バッキングをする先輩たちは、ピアノ、ベース、ドラム、ギター、トロムボーン、クラリネット。僕はトラムペット。新入生のトラムペッターは、僕一人。4年生のトラムペッターも唯一人。間を埋める先輩トラムペッターは居ない。「明日からレギュラーになる為に必死でケイコしろ!」それが先輩のその日の最後の言葉だった。僕は、R&Rをやりたかった。Beatlesもやりたかった。カレッヂ・フォークだってやりたかった。オリジナル・ソングも作りたかった。しかし、大学1年の僕がこのクラブでやらなければならない音楽は、デキシーランドジャズだった。
当時はi-Podなんて無かった。テープレコーダーも買えなかった。「ステレオ」という名の廉価なオーディオは持っていた。ケイコの始めはcopyである。しかし、名盤と呼ばれたレコード盤を持っている先輩は少ない。 「水道橋に『スウィング』というJAZZ喫茶があるから、リクエストして今度やる曲をCOPYして来い」と先輩。五線紙とコーヒー一杯分の小銭を握りしめ、駿河台から歩いて行く。『EDDIE CONDON / MIDNIGHT IN MOSCOW』。これがリクエストのレコード。聴きたい曲は〈DARK EYES〉。同じ盤を2度、3度はかけてはくれない。
ペットのアドリブが始まる。最初のフレーズを必死で聴き取る。五線紙に書く。2小節。もう、その先は分からない。次の日も又、次の日も。一体、何日かかっただろう。Copyは何とかしたが、そんな風には吹けない。結局、演奏会では、アドリブの入口だけがCopyフレーズで、後は自作だった。それが僕の作曲への入口となった。あの名盤を40年振りに八重洲ONKYOの素晴らしい試聴室で聴いた。今は復刻CDがリリースされている。「スゲェー!」の一言。そして、胸に染み込んでくる青春時代のサウンド。このCDは僕の持ち物ではなく、後輩の和泉君から借りた物だ。今、当時のOBたちが集ってひと月に2回、リハーサルを演る。バンド名は「Jamming Hot 7」楽しい。下手っぴだが、何か宿っている。ジャズの中でもデキシーは「お爺ちゃん」だと思う。参加OBは10人。還暦をはさんだ世代。正しく「お爺ちゃん」になった。誰かが云った。「年金バンド」と。歳を取るのも悪くないなと思った。皆で〈DARK EYES〉演ろう。デキシー、有難う。 編集協力:ピンポイント
【宇崎竜童略歴】
宇崎竜童
1946年2月23日京都生まれ。 1973年にダウン・タウン・ブギウギ・バンドを結成しデビュー。
〈港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ〉〈スモーキン・ブギ〉など数々のヒット曲を生み出し、作曲家としても活動を続け、1976年には内藤やす子さんへの作品〈想い出ぼろぼろ〉で日本レコード大賞作曲賞を受賞。
『駅-STATION』(東宝1982年)『社葬』(東映1989年)などで日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。『駅-STATION』と『ミスター・ミセス・ミス・ロンリー』では助演男優賞受賞。2006年1月に、『ロック曽根崎心中』『天保十二年のシェイクスピア』の音楽が認められ、第13回の読売演劇大賞のスタッフ賞優秀賞を受賞。今後も音楽制作を中心とした活動を行なう予定。
【JAZZ TODAYとは】
JAZZ TODAYとは
JAZZ専門の月刊フリーペーパー。
新譜情報、アーティスト動向、ライブ情報などを多彩な話題と一歩踏み込んだこだわりの記事は読者の好奇心をくすぐる。大手CD販売店、ライブハウス等で入手可能。毎月20日ごろには配布されている。
※写真は2月配布号(No.22)表紙
■制作:jazz todayプロジェクト
〒107-0062 東京都港区南青山3-4-7-402
06/04/14
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